公開日:2016年6月18日
配給:松竹、アスミック・エース
時間:000分
監督:黒沢清
原作:前川裕
脚本:黒沢清、池田千尋
出演:西島秀俊(高倉)
竹内結子(康子)
川口春奈(早紀)
東出昌大(野上)
香川照之(西野) ほか
製作総指揮:大角正
エグゼクティブプロデューサー:黒田康太
プロデューサー:深澤宏、住田節子、赤城聡、石田聡子
撮影:芦澤明子
美術:安宅紀史
照明:永田英則
録音:島津未来介
編集:高橋幸一
装飾:山本直輝
音楽:羽深由理
音楽プロデューサー:高石真美
スクリプター:柳沼由加里
助監督:海野敦
ラインプロデューサー:山田彰久
プロダクションマネージャー:小松次郎
鑑賞日:2016年6月21日
場所:新宿ピカデリー シアター2 座席:D-21
■ ストーリー
ある事件でミスをしてしまった高倉(西島秀俊)は、警察の職を辞し、大学で犯罪心理学を教えている。妻・康子(竹内結子)とともに引っ越しをした高倉は、心機一転、新生活が始まろうとしていた。
ある日、高倉は大学で同僚の研究を眺めていると、数年前に1人を残して家族が失踪してしまった未解決事件が気になった。高倉は興味本位に空き家となっている事件現場を訪れ、それをきっかけに徐々にその事件にのめり込んでいく。
引っ越し先で隣近所の交流が思うようにいかない康子だったが、徐々に隣の西野(香川照之)と交流を持ち始め、西野と西野の娘を自宅に招き入れるまでになった。
西野との交流を快く思わない高倉だったが、家のことよりも掘り起こした未解決事件の方ばかりに気持ちが向いていく。
高倉は元同僚で捜査一課の野上(東出昌大)とともに、家族失踪事件でただ1人残された娘の早紀(川口春奈)と接触するうちに、失踪した家族の当時の隣人が絡んでいることをつかむ。すると空き家となっていたその隣人宅から複数の遺体が発見された。遺体は、失踪した家族とその隣人らのものだと判明し、事件は解決するかに思えた。
しかし、高倉はその事件と今ある自分の境遇との不思議なつながりに気付き、隣の西野を強く怪しむようになる。だが、すでに事態は深刻な状況になっていた。高倉は妻の康子が深みにはまっていることさえ気付いていなかったのだ。
元同僚・野上の協力を得ながら西野のことを探ろうとするが、近所での発火事件や野上の死といった危険がどんどん迫ってくる。そしてついに、魔の手は妻・康子へと及び、それが高倉自信への危機的状況へと進んでいく─
▶ 映画館環境
新宿ピカデリーのスクリーン2は座席数303、スクリーンサイズは分からないが、極めて大。座席はD-21。前方から4列目、足元が広々としていて前方に障害物がない。ややスクリーンに近すぎるかも知れないが、前方の開放感を最良とするならば気にすべき問題ではない。右寄りであることが残念。平日の朝イチ上映。意外に客はいた。客層は成人から年配で占められていた。6割ぐらい座席が埋まっていた気がする。
▶ 作品レビュー
黒沢清自らダークファンタジーと語っていたこの作品、見る人によってその感想や感じ方が大きく違うとは思うけれど、個人的にはこの“ダークファンタジー”という表現に納得させられてしまった。ミステリーとかサスペンスといった要素が強い作品ではあるものの、全く怖くなかったし、むしろ笑い所満載で、終始ニヤニヤいやらしく笑いながら見ていた気がする。
西島秀俊の演技には、いつもながらニヤツいてしまう。あのぎこちなさは、狙っているのか天然なのか全く分からないけれど、ドラマや映画、CMでさえも全く変わらないあの立ち振る舞いとしゃべりはもはや一つのスタイルと認めてもいいのではと思っている。悪く言えばド下手、良く言えば頑な(…これも悪口かもしれないけれど)─、黒沢清監督はニュートラルという表現でうまくオブラートに包んでいたが、本当にそういう意識で演じているのならば、こっちが思っている以上に凄い役者かもしれない。ただ、好き嫌いはあるだろうし、実際自分は好みじゃない(…ここまできて落とすわけじゃないけれど…)。でも、笑える。いろんな意味で笑える。
西島秀俊とは対照的に、作品ごとに演技をがらりと変えてくる香川照之には笑いと同時に畏怖すらしてしまう。良く言えば多才、悪く言えば過剰─。しかし、その過剰さが決して浮くことなく、それぞれの作品において見事に馴染んでいるように思う。演じているキャラを見ると、決してこんなヤツいないと思うけれども、画面の中でそれが成立している。それ故にそれを見ていると笑いが止まらなくなってしまう。
熱く頑なな西島秀俊の演技と変幻自在に柔軟な香川照之の演技がぶつかり合うのを目の前にすると、どちらがどれだけ力を入れているのか全く分からない。見た通り西島が力んで香川が緩く演じているのか、あるいは西島の表現こそがナチュラルで香川が懸命に虚実を作ろうとしているのか─、彼ら二人の絡みは様々な物事を思い起こさせてくれて、作品を越えた面白さを感じてしまうのである。
それら演者の競演を堪能できるもの、安心安定の確固たる映像や世界観が確立されているため。様々な光りを駆使し、効果的な音響とともに、黒沢清ダークファンタジーへと誘われ、そこで展開される個性と個性のぶつかり合い─至極のエンタテインメントが展開されていた。
ストーリーだけを追おうとするとただ後味が悪いお話しでしかない。感覚的にその雰囲気を味わうことができれば、もしかしたら、かけがえのない作品になるかもしれない。
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