日本で一番悪い奴ら

日本で一番悪い奴ら(2016年・日本)
公開日:2016年6月25日
配給:東映、日活
時間:135分

監督:白石和彌
原作:稲葉圭昭「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」
脚本:池上純哉
出演:綾野剛(諸星要一)
   YOUNG DAIS(山辺太郎)
   植野行雄(アクラム・ラシード)
   矢吹春奈(田里由貴)
   瀧内公美(廣田敏子)
   田中隆三(猿渡隆司)
   みのすけ(岸谷利雄)
   中村倫也(小坂亮太)
   勝矢(漆原琢馬)
   斎藤歩(桜庭幸雄)
   青木崇高(栗林健司)
   木下隆行(加賀谷力)
   音尾琢真(国吉博和)
   ピエール瀧(村井定夫)
   中村獅童(黒岩勝典)
   白石糸(沙織)ほか
エグゼクティブプロデューサー:田中正、柳迫成彦
企画:千葉善紀、赤城聡
プロデューサー:高橋信一、田中誠一
撮影:今井孝博
美術:今村力
照明:金子康博
録音:浦田和治
音響効果:柴崎憲治
編集:加藤ひとみ
音楽:安川午朗
音楽プロデューサー:津島玄一
主題歌:東京スカパラダイスオーケストラ、Ken Yokoyama
装飾:京極友良
衣装:宮本まさ江
ヘアメイク:小山徳美
キャスティング:杉野剛
助監督:是安祐
制作担当:宮森隆介

鑑賞日:2016年7月4日
場所:TOHOシネマズ日本橋 スクリーン2 C5


■ ストーリー
日本警察史上最大の不祥事といわれる、実際にあった稲葉事件を題材にした劇映画。
北海道警察の稲葉圭昭(いなば よしあき)警部をモデルにした劇中の諸星要一(綾野剛)が、1976年に道警に入り、数々の事件に関わり、最終的に2002年に覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕されるまでの物語。

大学で柔道で名を馳せた諸星要一は、その実力を買われ道警に入署する。すぐに暴力団捜査に携わり、麻薬の取り締まりや拳銃の押収などを重ねていくうちに、次第に自らの捜査手法も暴力団まがいのものになっていく。女を囲い、裏社会の人間との絆も生まれ、いつしかチームとして、手段を選ばない捜査手法を繰り返すようになっていた。
1993年ごろ、警察が銃器摘発キャンペーンを敷き、それに合わせるように道警では銃器対策室が設けられた。諸星もそこに配属され、銃器摘発のエースとして期待を集める。それにこたえるように、裏取引をしてまで、あたかも大量の銃を押収したかのように装うっていく。それが常態化していき、どんどんエスカレートしていった。
大量の銃を手にするために、諸星は資金を必要とした。そのために覚醒剤の密売などにも手を染めていく。
当初、それは順調に見えたが、徐々に思うようにいかなくなり、そしてついに大きな失敗をして諸星の栄光は終焉を迎える。そして、諸星は、決して自ら手を染めることがなかった薬物にはまっていってしまう。

▶ 映画館環境
TOHOシネマズ日本橋スクリーン2は座席数112で、スクリーンサイズが9.1×3.8m。前方2列、後方7列の構成。後方最前列には手すりなどの柵がなく、スペースでいうと魅力的。C列は後方列の最前列で、若干近すぎて見上げになってしまう。ただ、これぐらいのスクリーンサイズであれば、それほどつらさは感じない。むしろ、非常に迫力を感じるベストな席。C5は左端の席。画面にかなり近いだけに、真ん中よりもむしろ端の方が見やすいような気がする。

▶ 作品レビュー
いま流行の(?)過去を描く際に映像をわざと古く見せる手法を多用していたように見えた。多少の効果は感じるけれども、そのこだわりは少し弱いように見えた。というのも、急にその画質が今風に変わってしまうところが多々見受けられ、映画の世界観に入っていこうとする上で明らかに妨げになっていた。極悪な諸星が、やんちゃな綾野剛にしか見えない、といったように─。(まぁ古ぼけた映像をわざと作ろうとしているところはなかったのかもしれないし、単に過去の事物を画面内に配置しただけで映像そのものが古ぼけて見えたのかもしれない。個人的に感じたのは、映像的な統一感のなさといったところ)
そしていま一つ批判的なところを挙げさせてもらう。それは、役者を本業としない演者が何人か登場してくる点においてであり、彼らの演技にごとく嫌悪感を持ってしまう。映画には役者しか出演しては駄目だなどと頭の硬いことは言わない。しかし、本業ではないからと、拙い演技を許容しなければならない義務もない。そうはいっても、彼らは自らの能力を自覚しつつ、できる限りの演技をしていただろうし、それを生かすも殺すも演出次第だったと思うわけで、それが上手い具合にはまっていなかったというのが個人的な見解。
正直なところ、演技にも映像そのものにも全く魅力を感じなかったわけで、映画としてみた場合、あまり芳しいものではなかった。(あくまで個人的見解)
それでもこの映画を“良し”とする。その最たる理由は、やはりもとになっている話が凄すぎるというところにある。
治安のよい国日本、安全な国日本、そう呼ばれているのは幻想で、そしてまた、その治安と安全を警察が保障していると思うことがいかに恐ろしく、それは非常に危険なことだと思わされる。
描かれ方があまりにも過剰に感じてしまうところもあるし、もとになっている原作もあくまで個人の告白によるもので客観性に欠けるとも思ってしまう。しかし、描かれているものは嘘とは思えないし、これを役者が演じている虚構だと認識した上で観賞しつつも、むしろ、これこそが真実だ!とも思ってしまう。表層的な格好良さなど度外視してでも、リアルな感じとか生々しさといったことを表現したい、そういう思いが伝わってくる。それがこの作品の評価にも繋がっていく気がする。
史上最悪とも言われる警察の不祥事なのだから、もっと真面目な大作を、と思ったりしたけれど、もしかしたら、そんな堅物を作られたところでその事実をしっかりと受けとめられたかどうか疑問に思ってしまう。過度にも思えるこの作品のような劇的演出があればこそ、社会に対する危機感というものなどを喚起させられるのかもしれない。
エンターテインメントとし楽しめる映画であると思うし、同時に、広く世に知らしめるといった啓発という意味でも意義深い映画だとも思える。ただ、個人的には再び見たいとは思わないし、そう思わせてくるだけの魅力はなかった。しかしながら、この映画への強烈な記憶はいつまでも消えることはないだろう。



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