傷物語Ⅱ 熱血篇

傷物語Ⅱ 熱血篇(2016年・日本)
公開日:2016年8月19日
配給:東宝映画事業部
時間:69分

監督:新房昭之
原作:西尾維新
声:神谷浩史(阿良々木 暦)
  坂本真綾(キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード)
  堀江由衣(羽川 翼)
  櫻井孝宏(忍野メメ)
  入野自由(エピソード)
  江原正士(ドラマツルギー)
  大塚芳忠(ギロチンカッター) ほか
キャラクターデザイン:渡辺明夫、守岡英行
音響監督:鶴岡陽太
音楽:神前 暁
アニメーション制作:シャフト

鑑賞日:2016年8月30日
場所:TOHOシネマズ新宿 スクリーン3 E9


■ ストーリー(公式HPより)
高校二年の春休みに、美しき吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・
ハートアンダーブレードと出会った阿良々木暦。四肢を失い、瀕死の状態に
あった彼女を助けた暦は、しかし自らも吸血鬼になってしまう。

人間に戻るためには、奪われたキスショットの四肢を取り戻さなければならない。
怪異の専門家・忍野メメの助言を受けた暦は、過酷な戦いに乗り出していくことになる。

彼の前に待ち受けているのは、
身長2メートルを超える巨漢である吸血鬼を狩る吸血鬼・ドラマツルギーと、
巨大な十字架を自在に操る半吸血鬼(ヴァンパイア・ハーフ)のエピソード。
そして、吸血鬼退治を専門にする、物静かな人間・ギロチンカッター。

はたして暦は、3人の「敵」から、キスショットの四肢を奪い返すことができるのか? 
雨がそぼ降る3月最後の夜、血戦の幕が静かに上がる―。

▶ 映画館環境
TOHOシネマズ新宿 SCREEN3 座席数130 スクリーンサイズ4.5×10.8m
E9はちょうど劇場の真ん中。特に真ん中のメリットを感じなかったので、後とか通路側とか端など、落ち着いて座るところを選ぶべき劇場かもしれない。
平日でにもかかわらず、意外と座席が混んでいた。公開されている場所も少ないし、劇場も小さめなところがほとんどだから──と勝手に分析。
客層は極めて偏っているように見受けられた。やっぱり、独特な人が好むような作品だと確信した、いまさら…

▶ 作品レビュー
もともとモノノ怪の類いを扱っているわけだから、血が飛び散るグロテスクな表現は数多く見られる作品ではあるのだが、その中にも、笑いやエロさといった要素により軽やかになっていたように思う。そして、そこが個人的には非常に気に入っている部分なのだが、ここまでの劇場版においてはその軽やかさが少しだけ削ぎ落とされているような印象を持つ。笑いやエロとった要素は失われていないものの、絵自体がどす黒い。重々しい赤を基調とされた画面構成に、視覚的ストレスをもろに受けてしまうような印象を受けるのだ。それでも、化物語へと繋がる伏線が展開されていると認識できる者ならば、楽しみ所は満載なのだが、仮に劇場版から阿良々木暦や忍野メメ、羽川翼などの名を知るに至ったという可哀想な人にとっては、単に酷いものと映る危険性が大だと感じてしまう。もっとも、順番的にはこの映画から見ることこそが時間軸に沿ったもので間違ってはいないのだが、如何せん全てがあまりに唐突すぎる。まあ、そもそもの話の展開自体が突然の出来事の連続であり、テレビアニメとして放映された化物語に至っては、情報が欠落したままどんどん物語の情報が与えられ、(めくるめく映像と難解な文字情報がどんどん提示されて)真剣に全てを把握しようとすると、かえって対峙している作品を放棄したくなる気持ちになってしまう。とはいえ、たいていの場合、いつの間にか自分の理解を超えた事柄は自然とスルーしてしまっていて、それでもこれは楽しいと感じることができて、理解できなくても何だか楽しいという、まさに怠惰なアニメファンを虜にしてしまう作品なのである。だから、映画の中で展開する過去というか現在─、その未来はすでに提示されているわけであり、半ば不安を抱えることなく、何の感情も思考も持たなくとも、いずれはそこに繋がるだろうという安心感を持って作品に臨むことができるわけだ。
確かに安心感はある。しかし、画面のどす黒さとともに、何かが物足りない。さて、それは何なのか?個人的な印象として、やり過ごす運命にあるような小難しい知識や説明不足の物語などが足りない印象を持つ。具体的にいうと、難しい漢字や文字、<Ⅰ鉄血篇>で頻繁に差し込まれたフランス語、NOIRとかROUGEといった文字が、今回は極力抑えられており、展開においても淡々と物語を時間軸に沿って流しているだけのものだった。キャラクターの名前の遊びは非常に興味深いものではあったが、その言葉遊びもあくまで台詞回しだけに終始しており、その魅力的なキャラクター名が決して自律的になることはなかった。その意図するところは、分かりやすさというところなのかどうかは分からないが、(といいつつ個人的にはほぼそうだろうと決めつけているのだが──)そうすることによって単なる心霊現象を扱った恐怖モノアニメでしかない。といっても別に恐怖を感じる映画ではないけれど──。
アニメーションの質としては申し分ないものだと思うし、なるべく大きな画面で見たいと思わせてくれる。膨大な(無駄な)情報量を盛り込まれていたのであれば、後々DVDやブルーレイ等でじっくりと止めたり繰り返したりしながら堪能しようかと思っていたところではあるが、今回の作品はそれほど後でじっくりと見返したいという感情が起こらなかった。分かりやすいアニメ映画にしたことによる善し悪しが出ているのかもしれない。
ただでさえ高校生だとは思えなかった阿良々木暦(─小説においてもテレビアニメにおいても─)、物語シリーズにおいて最も若い頃のだと思うのだが、テレビアニメで見ていた頃よりも老け込んで見えてしまうところに適当さ加減を感じてしまう。もともと登場人物全員が年相応には見えないわけだし、どーでもいいことなんだろうけど、具体的に見える形で表現するならば、それなりに考えてほしいところではある。その辺のこだわりや細部への気配りの欠落というものが、もしかしたら、今回の作品の中では露見してしまっているのかなーなんて生意気にも思ったりするところです。
何はともあれ、最後の<Ⅲ冷血篇>を待つばかり。

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