レヴェナント 蘇えりし者

レヴェナント 蘇えりし者(2015年・アメリカ)
原題:The Revenant
公開日:(米)2016年1月8日 (日)2016年4月22日
配給:20世紀フォックス
時間:157分

監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
原作:マイケル・パンク
脚本:マーク・L・スミス
   アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:レオナルド・ディカプリオ(ヒュー・グラス)
   トム・ハーディ(ジョン・フィッツジェラルド)
   ドーナル・グリーソン(アンドリュー・ヘンリー)
   ウィル・ポールター(ジム・ブリジャー)
   フォレスト・グッド(ラックホーク)
   ポール・アンダーソン(アンダーソン)
   クリストッフェル・ヨーネル(マーフィー)
   ジョシュア・バージス(タッピー・ビル)
   ルーカス・ハース(ジョーンズ)
   ブレンダン・フレッチャー(フライマン)
   デュアン・ハワード(エルク・ドッグ)
   アーサー・レッドクラウド(ハイカック)
   グレイス・ドーブ(ヒュー・グラスの妻) ほか
製作:アーノン・ミルチャン
   スティーブ・ゴリン
   アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
   メアリー・ペアレント
   ジェームズ・W・スコッチドープル
   キース・レドモン
製作総指揮:ブレット・ラトナー
      ジェームズ・パッカー
      ジェニファー・デイビソン
      デビッド・カンター
      ポール・グリーン
      マーカス・バーメットラー

      フィリップ・リー
撮影:エマニュエル・ルベツキ
美術:ジャック・フィスク
衣装:ジャクリーン・ウェスト
編集:スティーブン・ミリオン
音楽:坂本龍一
   アルバ・ノト
   ブライス・デスナー

鑑賞日:2016年4月22日
場所:TOHOシネマズ新宿 スクリーン10(IMAX) F-14


■ ストーリー
1823年、アメリカ北西部で毛皮を手に入れるため狩猟に出ていたある集団がいた。彼らは先住民アリカラ族の襲撃に警戒していた。そして恐れていた襲撃が起こる。
集団の案内役をしていたヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は、先住民ポニー族の妻との間に設けた息子のホーク(フォレスト・グッドラック)と共に、襲撃を防ぎつつ、急いで逃げるように指示し、多くに犠牲を払いながらも、一部ではあるがその危機を脱する。
難を逃れ野営をしながら、山深く、目的地へと進んでいく一行。そんな中、見回りをしていたグラスをグリズリー(ハイイログマ)が襲う。死闘の末、何とかグリズリーを倒すものの、自らも瀕死の重傷を負ってしまう。
動けないグラスは、完全に逃避行を続けるチームのお荷物となってしまった。このままでチームが崩壊しかねない現状に、リーダーのアンドリュー・ヘイリー(ドーナル・グリーソン)はグラスの離脱という苦渋の決断をする。ただし、グラスの死を見届け、その亡きがらを埋葬することを指示し、その役としてホーク、ジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)、ジム・ブリジャー(ウィル・ポールター)の3人を指名し、チームはグラスを含む4人を置いて目的地へと向かっていった。
グラスの見届け役を買って出たヘイリーは、グラスがなかなか死なないことに苛立つ。そしてついに、彼は瀕死のグラスの目の前でホークを殺し、先住民アリカラ族の集団がそばにいるとブリジャーを欺きつつ、まだ息のあるホークを捨てて、チームの後を追った。
目の前で息子を殺され、ひとり取り残されてしまったグラスは、息絶えるどころか、這いながら仇のヘイリーを追っていく。生きるために草木を食べ、川の水を飲み、動物の死骸すら口にしながら、徐々に体が動いていく。
様々な出会いや出来事を経ながら、グラスは奇跡的にチームの砦へと辿り着く。グラスの死と埋葬を聞かされていたリーダーのヘイリーは、驚き、そして怒りに震える。そして同じく復讐という怒りに燃えるグラスとともに、すぐさま逃亡をはかったフィッツジェラルドを追う─。

実話にもとづいたマイケル・パンクの小説を映画化。
アカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞、撮影賞を受賞。
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥは2年連続の監督賞、
エマニュエル・ルベツキは3年連続の撮影賞、
レオナルド・ディカプリオは初の主演男優賞を受賞。


▶ 映画館環境
TOHOシネマズ新宿スクリーン10 IMAXデジタルシアター
スクリーンサイズは不明だが、極めて大、個人的に現在最も気に入っている劇場。座席数313、F列の中心付近がベストポジション。端の方でも問題なし。
公開初日、金曜の夜、ディカプリオと坂本龍一、イニャリトゥとルベツキ、必然的にほぼ満席。長い映画だと、どうしても時間を気にしてしまうもので、何度か時計を見てしまった。すると隣に人に肘打ちを喰らう、「携帯やめてもらえねぇーかなー」と─。携帯じゃねーよ!と一瞬頭に血が上るが、光るものは劇場だと嫌がられるものなんだと改めて思い知らされる。恐らく、自分も逆の立場だったら、同じように怒る、かもしれない。ただし、肘打ちするかどうかは分からないけれど─。その勇気と助言に感謝しながら、心を静める。次から多少気をつけよう、劇場マナーは大切に─。


▶ 作品レビュー
時代背景が西部開拓時代、舞台が北米の雪中、そして音楽がRyuichi Sakamotoということから、どうしてもタランティーノの「ヘイトフル・エイト」を連想してしまう。一方は閉鎖された空間での殺し合いであり、方やこの作品は壮大な自然を優美に描いた叙事詩といえるだろうか─、確かに内容は相反するもの。しかし、目指すところは決して違うものではない。それは、観客をいかに楽しませるかというエンターテインメント性ということに尽きる。
自然を自然に描ききっているこの作品の価値を、エンターテイメントというものから切り離して評価されることもあるかと思うが、あくまで明確なストーリーありきのエンタメ映画としか捉えることができない、というのが個人的な見解だ。
たしかに、幻想的な映像が非常に印象的で、大自然の映像に坂本龍一の音楽が見事にはまっているし、映画という枠を越えた芸術作品としてみてもいいのかなと思ったりもするが、劇場から離れたところでこの作品が流れているのを想像すると、特別視するような映像に思えない。だから悪いということではなく、あくまでエンタメ作品であり映画として優れたものだという個人的な意見である。
エンターテインメント映画だからこそのレオナルド・ディカプリオであるし、彼の演技なしにはここまで優れた映画として評価されなかったかもしれない。そして、念願のレオ様初のオスカーに繋がったわけだから、最高のエンターテインメントがここにあるというべきなのだろう。
とはいえ、個人的な関心というのは役者に向いているのではなく、監督のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥと撮影のエマニュエル・ルベツキに向けられていたりする。2年連続監督賞と、3年連続撮影賞というのは伊達ではない。しかも、このコンビは2年連続でのオスカー。前回は映画「バードマン」。切れ目なく続く映像という手法が非常に印象的な作品であったが、その手法も今回の作品に生かされていて、長回し的な手法が散見される。それがまた作品において効果的に使われていて、カットで刻んでいく映像に負けないくらいに目で見ている者を楽しませてくれる。
そしてもう一つ欠かせない要素として、坂本龍一の音楽がある。もっとも、それは日本人だけなのかもしれないけれど─。公開前から坂本龍一の名でプロモーションを盛んにされていた映画であったが、個人的には正直、音楽が誰であろうと別に関係なかった。例え贔屓の音楽家が音楽を担当しているからといって、それだけでその映画を見に行くことはまずないからだ。
観賞後のこの映画の音楽に対する率直な感想としては、非常にマッチしていたなぁというもの。しかも非常に効果的だったと思う。坂本龍一のネームバリューは関係ない、と言い放ちたいところだが、彼の活動を多少なりともテレビなどで知っているわけで、そのバックグラウンドを知っているから尚更、好印象だったということは否定できないことである。つまり、坂本龍一を前面にしたプロモーションは大成功だと言わざるを得ない。恐らく皆、さすがは教授、などと思った─かもしれない。
さて話をストーリーに関するものに戻すと─。内容の軸は敵討ちなんだろうけれど、それを感じさせないくらい幻想的で壮大な自然美が展開されて、映像そのものを純粋に楽しめたような気がする。しかし、結局最後は復讐劇となってしまっているわけで、その結末には非常に物足りないものを感じてしまった。無理に落ちをつける必要もないものなんだなぁと、反面教師的な面も垣間見た思い─まぁ原作通りであるならば致し方ないのだけれど…原作未読につきその辺がどうなのか判断しかねますが…。
偉そうに言ってしまうと、後半もっとコパクトというかバッサリと切っていれば、もしかしたから作品賞だったのかなー…なんてバカなことを思ったりしました。何せ長かったので、率直に、飽きました。と書いて終わると、なんだか酷くてつまらない映画に聞こえかねないし、それは心外。素晴らしい映画であることは間違いない。繰り返しになるが、自然を捉えたその映像には魅せられる。単に美しいだけでなく、過酷で、そして恐ろしいところもしっかりと表現できていると感じるし、まさに畏怖されるべき大自然を見事に描ききっている。イニャリトゥにとって前回の作品は大都市を描いたものであり、一転して今回は大自然を舞台にした作品。つまり、自然こそを描きたかったことではなかろうかと想像できる。前回のショウビズを描いた作品の成功や、超大物レオ様を起用という特殊要因に惑わせられることなく、むしろその特殊要素を存分に生かしながら自らの意図するところをしっかりと表現している。文句なしの連続監督賞だ。
この映画を楽しんで、そして自然を畏怖すべし。

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