7分間

7分間(2016年・イタリア)
原題:7 Minuti
公開日:(伊)2016年11月3日
配給:(伊)Koch Media
時間:88分

監督:ミケーレ・プラチド
制作:フェデリカ・ビンチェンティ
原作(演劇):ステファノ・マッシーニ
脚本:ミケーレ・プラチド、ステファノ・マッシーニ、Toni Trupia
出演:オッタヴィア・ピッコロ(ビアンカ)
   アンブラ・アンジョリーニ(グレタ)
   クリスティアーナ・カポトンディ(イザベッラ)
   フィオレッラ・マンノイア(オルネッラ)
   マリア・ナツィオナーレ(アンジェラ)
   ヴィオランテ・プラチド(マリアンナ)
   クレマンス・ポエジー(イラ)
   サビーネ・ティモテオ(ミカエラ)
   アンヌ・コンシニ(アダム・ロシェット)
   ルイーザ・カッタネオ(サンドラ)
   エリカ・ダンブロージョ(アリーチェ)
   バルキッサ・マイガ(キルダ) ほか

鑑賞日:2016年10月25日(第29回東京国際映画祭コンペティション部門上映)
場所:TOHOシネマズ六本木 スクリーン3 J-6


■ あらすじ(第29回東京国際映画祭公式プログラムより)
イタリアの繊維工場のオーナーが、ある会社に事業の大半を売却した。新オーナーは従業員組合に対し、ある同意書への署名を求める。従業員を代表して、11人の女性がその提案を受け入れるかどうかを決断するため議論を始めた。次第に、議論は熱を帯び、彼女たちの個人的背景や希望、過去の記憶などが浮き彫りになる。女性、母親、娘──それぞれに異なる立場での人生の拍動が万華鏡のように見えてくる。

▶ 映画館環境
第29回東京国際映画祭コンペティション部門
TOHOシネマズ六本木スクリーン3
スクリーンサイズ4.0×9.7m、座席数140
J-6は最後列、スクリーン向かって真ん中の席
チケット購入でシステムトラブルになるほどに興行的にも盛り上がっていた気がするTTFF2016、平日午前の上映でもそこそこの人。ただ、満席ではなかった。
あまり前の方の列でなければ、どの列でもいい気がするし、当然ながらスクリーン向かって真ん中付近が最高の眺め。

▶ 作品レビュー
機械的でフォトジェニックな工場の絵をベースにスタッフクレジットが表示され、静かに冷たく物語が始まる。モノトーンに近いその絵の洒落た感じに何となく心が惹きつけられて、それに対峙するかのように後から涌き出てくる人々の感情が見事なまでのコントラストを持っていた、と終わってみて気がついた。
作品を通して最も強く思ったことは、あの「十二人の怒れる男」に似ているということ。ビアンカ役のオッタヴィア・ピッコロが熱く周りの者を説得するその姿は、まるでヘンリー・フォンダのようだった。
オッタヴィア・ピッコロはカンヌ映画祭で女優賞を獲得している名優だということも知らずにいた自分ではあったけれど、上映後ゲストとして登場し作品についてのQ&Aに参加できたことに、今にしてようやく幸運だったと思っている。
彼女の解説によると、この作品は実際にフランスのオートロワール県というところで起こったことがものになっていて、それをイタリア人の劇作家ステファノ・マッシーニが演劇として作品にし、2013年に上演、その演劇にオッタヴィア・ピッコロも参加していて、今回の映画でも同じ役で参加できたということだった。
そういえば「十二人の怒れる男」も元は演劇であり、それが映画化されたもの。そして、個人的な話をすれば、「十二人の怒れる男」という作品を初めて知ったのは日本の劇団が上演したものを見てからであり、いわば演劇から「7分間」という映画に連綿と連なる何か不思議な意志のようなものを感じてしまう。
物語の形式は古典的なものを借りているとはいえ、テーマそのものはまるで違う。現代社会の問題を見事に反映させており、現実と照らし合わせて考えさせられるところが多々あった。そこは実際に起こった事を扱った強みといったところだろうが、それを過去の名作と違和感なく融合させるところがまた見事なところで、しかもこの映画で議論を展開するのは全員女性にしているという演出もなかなか面白いところ。実際の出来事が忠実に再現されているのかどうかは分からないけれども、支配する者も決定する者も全て女性という設定には意図的な何かを感じるわけで、その意義や効果は絶大だったように思う。
舞台が法廷というのであれば、結末もある程度明確になるわけだけれども、労働や個人的事柄がメインテーマとなってくると、とかく集団における解決方法を見いだすことが難しいわけで、そういった難点も作品で見て取れた。というのも、強引なハッピーエンドのような終わり方に多少の不満を持ってしまったし、そうは言ってもこういったテーマにおいて多くを納得させることは至難の業だなと思ってしまうわけで、下手に満足させようとすると一気にリアリティーが削がれるものだと感じてしまった。
現実社会においては様々な問題が解決されないままでいるわけで、逆に問題はどんどん増えているようにも思う(─オッタヴィア・ピッコロもそういった趣旨のことを言ってたと記憶する)。その辺の余韻を作品の中にもっと盛り込んでほしかった…作品のエンディングから多少の残念感が伝わってきてしまった、現実社会の問題を扱っているだけになおさら──。
ちなみに、オルネッラ役を演じていたフィオレッラ・マンノイアは、有名な女性歌手なのだそうで、映画初出演なのだそうだ、個人的には全く無知だったけれども、知る人が見れば非常に目がいくところであったようだ。

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