ドラゴン・ブレイド(2014年/中国・香港合作)
原題:天将雄師 Dragon Blade
公開日:(中国)2015年2月19日 (日本)2016年2月12日
配給:(World-wide)Golden Network Asia (日)ツイン
時間:103分 ※国際版125分
監督:ダニエル・リー
脚本:ダニエル・リー
出演:ジャッキー・チェン(フォ・アン)、ジョン・キューザック(ルシウス)、エイドリアン・ブロディ(ティベリウス)ほか
撮影:トニー・チャン
美術:ダニエル・リー
編集:ヤウ・チーワイ
音楽:ヘンリー・ライ
鑑賞日:2016年2月13日
場所:TOHOシネマズ六本木 スクリーン5 D-10
■ ストーリー
前漢時代の中国。シルクロードでは、広大な砂漠地帯で36の部族が領土や利権をめぐり紛争を続けていた。国境防衛隊とその地域の治安維持を任されている西域警備隊の隊長フォ・アン(ジャッキー・チェン)は、西域の平和実現のために日夜各地の警備に当たっていたが、陰謀によって反逆者の汚名を着せられ、部下と共に西域辺境の関所・雁門関に送られてしまう。一方、ローマ帝国の将軍ルシウス(ジョン・キューザック)は、暗殺された執政官クラッススの末息子で、暗殺者から命を狙われているプブリウスを守り自らの軍勢を引き連れてシルクロードに逃れてくる。雁門関で運命の出会いを果たし、国の違いを越えて友情を深め合うフォ・アンとルシウス。
ルシウスはローマの最新的な建築技術を用いて雁門関の砦の修復工事を成し遂げる。だが、そこにルシウスを追って、父を殺し、弟プブリウスの命をも狙うクラッススの長男ティベリウス(エイドリアン・ブロディ)がローマ帝国最強の軍勢を率いて攻め込んでくる。
そして、ティベリウスの真の狙いは中国侵略にあった。フォ・アンは、一致団結してローマ帝国と戦おうと、いがみ合う36部族の共闘を提案するが…、果たして彼らは国と人命を守り向けるのだろうか?
※日本語公式HPより
構想10年、中国映画として最高の制作費4億元(約70億円)をかけた超大作!
▶ 映画館環境
TOHOシネマズ六本木のスクリーン5は収容人数110でスクリーンサイズ3.0×7.3mと比較的小さな劇場。座席がいやな朱色。しかし各列スペースが広いため、ゆったりとみることができる。今回座ったD-10は前から4列目。画面に向かってやや右寄りの通路側の席。多少見上げになるが、スクリーンも大きくないので、結果ベストポジションであった。欲をいえばE列が良かったかもしれない。
週末の夜、大都市での上映にもかかわらず、空席が目立った。ガラガラというほどでもないが予想外に客が少ないことに一抹の不安。
▶ 作品レビュー
いまだかつて、歴史的事実を題材にしながら、こんなにも理解できなかった映画を見たことがない。とにかくストーリーそのものが理解できなかった。歴史的背景などを文字情報でたくさん説明していたけれども、展開上において細かなが全く理解できなかった。
基本的なストーリーテリングにおいて、明らかに欠陥を感じてしまう。5W1Hというものが全く考慮されておらず、時系列や場所、位置関係がとにかく目茶苦茶。説明するために突然回想が入り込んできたりするのだが、それが全然説明になっておらず、単にイメージ映像が挿入されている印象でしかなく、見ているこちらは混乱するばかり。
一番やりたかったことはアクションだろうことは明白。それならば、もっとシンプルな話でいいはずだが、どうも単純な話にしたくはないらしい。余計な裏切りやらどんでん返しが多すぎて、基本的な筋が分からなくなってくる。そもそも、基本的な筋なんてもともと無いに等しいと言った方が正しいかもしれないが─。
シルクロードを守るのが目的なのか、関所を守るのが目的なのか、幼き逃亡者を助けるのが目的なのか、ローマ軍を倒すのが目的なのか、全く分からない。おそらくその全てということなのだろう。大河ドラマじゃあるまいし、とても2時間では語りきれるとは思えない。
まあいい。全てを網羅した超大作なのだから、かなりのスケールで描かれている。それは認めよう。しかし、いったいフォ・アンが住む場所と活躍する場の位置関係というのはどうなっているのか。そして、36の部族はどこから湧いて出てくるのか、また、ルシアスはどこから来て、それを追うローマ軍はいったいどこから湧いて出てくるのか、全てにわたって位置関係が全く理解できない。故に、目の前の画面はただの平面でしかなく、空間といったものが全く感じられない。
ある物語を映像で見る場合、人物がどこから来てどこに行って、そして今そこがどこなのか違和感なく見ていることがほとんどだと思う。それなりのプロフェッショナルが作っているものであれば、それら空間表現のためにあらゆる努力をしているはずで、その甲斐あって観賞者は違和感なく自然に物語を受け入れることができる。こんなことを書かねばならないとは、全くバカらしいのだが、この基本的なストーリーテリングが全くできていない作品に出会ってしまったのだから、仕方がない。
この映画を見終わった直後は、何と酷いものを見てしまったのだろうかという思いしかなかったのだが、いま思い返してみると、単に導入部分の基本的な説明が雑すぎたのではと思う。ボロボロにやられながらも決して倒れることがない、これぞジャッキーという表現に鳥肌立ったし、36部族が独自の音をかき鳴らしながらローマ軍に立ち向かう場面など面白いアイデアだと思ったし、なんといってもジョン・キューザックが酷い拷問を受けたあたりの描写など笑ったなぁ、─という具合に、かなりいい場面もあったわけで、それを素直に楽しめなかったのは常に頭の中につきまとう疑問符のためだった。
全てをティベリウス(エイドリアン・ブロディ)の悪に集約していくやり方は分かりやすく、いかにも超大作っていう感じで非常にいい。だがしかし─・・・
自分が見たこの映画は103分、しかし国際版は125分、その差が20分以上もある。どこがどう削られているか分からないけれども、前半の説明的な部分などならばかなり致命的だと思ったりする。ただ、それを補ったとしても、もはや自分の中ではこの映画は最低な映画だという結論は揺るがない。
鳥の大群がローマ軍を襲うことで状況が変わったり、敵の大将を倒すことで全てが解決するといった語り口に、決して妥協などできない。確かに超大作らしいなぁーと思ったりするのだが、超大作という鳴り物を背負っているがために、なおさら駄作のレッテルを貼らざるを得ない。オープニングの「ドラゴン・ブレイド」とカタカナで記された邦題も酷かったなー。敢えてヘタウマ的なものを狙ったのかどうか分からないけれども、70億円もかけて“ある意味笑える”映画など作らないだろう。まぁこの邦題をつけているのは日本の配給会社であるから、ジャッキーの意向を無視して悪ふざけをしてしまったという想像はできるけれども。
最後に─これも悪口になってしまうのだけれども─英語と中国語で展開される中途半端さにも残念な気持ちのみ。別に36部族の言語を使い分けろとか、そんな非現実的なリアリティーは求めないし、それらは中国語で我慢できよう。だが、ローマ人がイングリッシュとか都合のいいバイリンガルとか、違和感が甚だしい。ストーリーを楽しめないと尚更だ。登場してくるパルティアの人々は英語だったか中国語だったかもはや記憶すらない。中国映画なんだからローマ人も中国語でいいのに。ジョーン・キューザックやエイドリアン・ブロディも中国語で演技すれば笑えたのに─、決して笑わせようとしていないところが非常に痛い。
あの「グラディエーター」は偉大な映画だったのだなー…
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