オデッセイ(2015年・アメリカ)
原題:The Martian
公開日:(米)2015年10月2日 (日)2016年2月5日
配給:20世紀フォックス
時間:142分
監督:リドリー・スコット
制作:サイモン・キンバーグ、リドリー・スコット、マイケル・シェイファー、アディタヤ・スード、マーク・ハッファム
原作:アンディ・ウィアー
脚本:ドリュー・ゴダード
出演:マット・デイモン(マーク・ワトニー)
ジェシカ・チャステイン(メリッサ・ルイス)
クリステン・ウィグ(アニー・モントローズ)
ジェフ・ダニエルズ(テディ・サンダース)
マイケル・ペーニャ(リック・マルティネス)
ショーン・ビーン(ミッチ・ヘンダーソン)
ケイト・マーラ(ベス・ヨハンセン)
セバスチャン・スタン(クリス・ベック)
アクセル・ヘニー(アレックス・フォーゲル)
キウェテル・イジョフォー(ビンセント・カプーア)ほか
編集:ピエトロ・スカリア
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
鑑賞日:2016年2月6日
場所:TOHOシネマズ日本橋 スクリーン7 F-18
■ ストーリー
限りなく今に近い未来、火星でNASAから派遣されたあるチームによる有人探査が行われていた。その最中、嵐に襲われたクルーは火星地表から一時離れるべく、MAV(Mars Ascent Vehicle)という簡易宇宙船に待避しようとする。しかし、運悪くクルーの1人マーク・ワトニー(マット・デイモン)が飛来物にぶつかり、チームからはぐれ、姿を消してしまう。危機的状況のチームはマークの捜索を断念、火星地表から脱出、火星軌道上の母船ヘルメス号へと戻っていく。その報告を受けたNASAはマークの死亡を発表する。
死んだと思われていたマークは奇跡的に火星で生きていた。ひとり火星に残されたマーク─ベースキャンプに残された酸素と食料だけではわずかな命であるという現実を知る。しかし、植物学者であったマークは自らの知識を生かし、ベースキャンプ内で植物を育て、酸素や水なども作り出す方法などを探り出し、なんとか数年生き延びる方策を考え出す。同時に、何とかして地球のNASAとのコンタクトを取ろうと考える日々。
一方、NASAでは火星のベースキャンプの異変に気づく者がいた。にわかには信じがたいことであったが、観測を続けた結果、何らかの干渉があるという結論に至る。それがマークかもしれないと─。
火星のマークは、過去に任務を終えているマーズ・パスファインダーを見つけ出し、それを通信器機として再利用、ついに地球との交信を確立する。
マークの生存を隠し続けたNASAも、ついにそれを公表し、それから一気にマークの救出作戦が模索され出す。地球上の知識を結集しながら短期間での救出を探る。描かれ出された救出作戦はミッションとして逐一マークのもとへと届けられ、その指示に連動する形でマークも行動する。
順調に見えた救出作戦も、思いがけない困難がマークを襲い、そのすべてが頓挫しかかる。しかし、中国の宇宙事業をも巻き込み、そして何よりヘルメス号のクルーらの強力なバックアップを得ることによって、新たな救出が試みられることになる。
ヘルメス号のクルーはマークを置き去りにしてしまったことを後悔していた。だから、彼らの身にも危険が及ぶかもしれない救出作戦を選択した。
そしてついにマーク救出作戦が実行される。想定外の事態の連続。果たしてマークとヘルメス号のクルーたちの運命はどうなるのか!?
コンピュータープログラマーから作家へ転身したアンディ・ウィアーのオンライン小説を名匠リドリー・スコットが映画化。ゴールデングローブ賞作品賞受賞、アカデミー賞ノミネート。
▶ 映画館環境
TOHOシネマズ日本橋スクリーン7は座席数406、スクリーンサイズ18.7×7.9mTCXと大きな劇場。A列からE列までが前方ブロック、F列からO列が後方ブロック、H列とI列がプレミアシートという構成。ブロックごとの手すりも柵もないので、後方ブロック最前列となるF列が最高の席と考える。選んだF-18はそのど真ん中。ベストポジションであった。
公開2日目、週末の夜、ゴールデングローブ賞授賞、有名俳優有名監督、客を惹きつける要素が十二分であり、場内8割方席が埋まっていた。
▶ 作品レビュー
面白い、確かに面白かった、けれども何がそれほど良かったのか、なかなか思い出して記すことができないでいる。
不可能なことを徐々に成し遂げていく過程とか、暗中模索だったものが徐々に道が開けていく過程とか、そういったストーリー展開が良かったのだろうか。
ひとり火星の人となって奮闘するマット・デイモンや、それを必死に救おうとする取り巻きたちの演技演出が良かったのだろうか。
リアリティーのある火星の風景、リアルな宇宙やリアルな宇宙船・ビークル、NASAやマーズパスファインダーといった現実世界に即した設定に共感を持ったのだろうか。
分からん…
地味ながらもヘルメス号の無重力表現とか気に入ったけれど、それほど新しい表現でもないわけだし、リアルさをもった近未来宇宙映画など数多くあるわけだし、全般的に新しさは全く感じなかった。表現され尽くされたものであるけれども、それらをしっかりと用いて構成していた、というところか。
不思議と、漠然であるけれども「2001年宇宙の旅」のことを想起した。ストーリーも設定もまったく違うものであるけれども、絵の質感というか、雰囲気が似ていると思った。それが面白さにつながっているのかどうかは分からないけれど、ビジュアル的な喜びは確実にあったように思う。
そもそもストーリーが良かったのだろう。火星で自給自足を試みる展開や、通信というものがいかに大事なものになっているかを知らしめるその内容に、強く惹かれていったのは確かなことだ。しかも、マーズパスファインダーとかNASA長官、CNN風のニュース映像といった現実世界の事柄をリアルに用いることによって、情報社会に支配されてしまっている自分などのような者を虜にしてしまっている。
リアルな世界に忠実であろうとしている分、気になったところもある。中国の宇宙当局の描写などはその際たるもの。まぁベールに包まれている部分であるわけだから、表現が難しいことは確かなことだが、分からないなら無理に表現しなくてもいいのにと思ってしまう。あの表現がなくても作品に対する影響は皆無であると想像できるから、なおさらそう感じる。そしてさらに、あのラストは最悪だ。ハッピーエンドを鼻で笑ってしまう自分がいるわけで、なんでこんな皮肉れた思いをしなければならないんだと思ってしまった。結局はナショナリズム、ちょっとでもそう思わせてしまうような結末はやめてほしい。
基本的に火星にひとり取り残された人の話だが、不思議と全く閉塞感がない。孤独になってもそれを補うメディアや通信というものが存在する。それらアイテムはずいぶんと都合よく並べ立てられているけれども、孤独という定義も一昔前とはかなり様変わりしていると感じさせてくれる。器械やテクノロジーがどんなにか孤独を紛らわしてくれていることか─。
しかし、所詮それは一瞬の紛らわしでしかなく、本当の孤独は決して消えるものではないと誰しもが思っていることで、マークとその取り巻きとの交流を見つめることでそれが痛いほど再確認できる。喜怒哀楽、それらを沸き起こしてくれる最たる対象、それはいまだ人間だということが映画の涙でよく分かる。
つまり自分は、現実に即したヒューマン宇宙ドラマに感動した、という結論に至る。
何とか絞り出した。それにしても、見終わったあとはかなり面白いという思いだったが、今こうして振り返ってみると、果たしてそれほどのものであったかどうか…
0 件のコメント:
コメントを投稿