映画 聲の形(2016年・日本)
公開日:2016年9月17日
配給:松竹
時間:129分
監督:山田尚子
原作:大今良時
脚本:吉田玲子
出演:入野自由(石田将也)
早見沙織(西宮硝子)
悠木碧(西宮結弦)
小野賢章(永束友宏)
金子有希(植野直花)
石川由依(佐原みよこ)
潘めぐみ(川井みき)
豊永利行(真柴智)
松岡茉優(小学生の石田将也)ほか
キャラクターデザイン:西屋太志
美術監督:篠原睦雄
色彩設計:石田奈央
美設:定秋竹斉一
撮影監督:高尾一也
音響監督:鶴岡陽太
音楽:牛尾憲輔
主題歌:aiko
アニメーション制作:京都アニメーション
鑑賞日:2016年9月19日
場所:TOHOシネマズららぽーと船橋 スクリーン5 D16
■ イントロダクション(公式HPより)
“退屈すること”を何よりも嫌う少年、石田将也。
ガキ大将だった小学生の彼は、転校生の少女、西宮硝子への無邪気な好奇心を持つ。
彼女が来たことを期に、少年は退屈から解放された日々を手に入れた。
しかし、硝子とのある出来事がきっかけで将也は周囲から孤立してしまう。
やがて五年の時を経て、別々の場所を高校生へと成長したふたり。
“ある出来事”以来、固く心を閉ざしていた将也は硝子の元を訪れる。
これはひとりの少年が、少女を、周りの人たちを、そして自分を受け入れようとする物語──。
▶ 映画館環境
TOHOシネマズららぽーと船橋スクリーン5
座席数315席、スクリーンサイズ7.5×17.7m
前方3列、後方8列、2ブロックに別れた大きな劇場
D列は後方ブロックの最前列でD16は真ん中付近の座席。この劇場はD列が狙い目。横に広がった劇場なので、なるべく中ほどの席がベスト。
レイトショーのため通常料金1300円の割引で観賞。それが一つの要因なのか、ほぼ満席状態。周りは若者中心、カップルが目立った。
▶ 作品レビュー
予想以上に感動してしまった。描画や構図、流れゆく映像の構成、あるいはカメラワークなどにも細かな気配りがなされていて、その絵づくりにまずは感心させられ、そして何よりもストーリーそのものに心を動かされた。
自殺、障害者、いじめ等々、社会的な問題を数多く盛り込んだ作品。それでいて決してそれら社会的問題がメインテーマになることなく、描かれている内容はあくまで青春のなかでもがき苦しむ若者の姿だと感じるだけに、余計にこみ上げるものがあった。
一つ一つの要素はまさに道徳的、しかし、それらが大集合したこの作品は、教育的なアニメーションなどではなく、むしろこの映画を教育の現場で流したとしてもよい結果は生み出さないと思う。むしろ、いじめや偏見というものを助長してしまう危険性すら感じる。あくまでも教育の場として扱ったならばの話。でも、これを個人個人の娯楽として見たならば、それぞれに抱える病んだ気持ちを少なからず和らげ、それによって社会においてもよい影響を与えるような気がする。あくまでも、そんな気がするということでしかないのだが…。
個人的には2時間超の映画はどうしても長く感じてしまうのだが、この映画に関しては長さなど微塵も感じなかった。内容が濃密であったからだろう。しかしそれよりも、展開のテンポの良さと、徐々に感情を高めていくような映像展開が大きな要因だったような気がする。終幕すると、感情が幅広く揺さぶられたためか、かなりの疲労感を感じた。
重々しい内容であり、映画という形式上、最初から終わりまで有無を言わさずにノンストップであるわけで、漫画などのように自由に途中で休憩というわけにはいかない。苦痛や忍耐といったものを与えないための工夫、所々で挿入されるイメージ映像、それらは決して無意味とか無関係なものではなく、あくまで関係するイメージでありながら一つの息抜きとして気を緩めることができるわけで、そのタイミングも絶妙であったように思う。それ故に飽きることなく最後まで見続けることができたのだろう。
息抜きとはいえ、重々しい事柄に関連するものであるわけだから、集中力を余計に持っていかれる分、疲労感も激しいという結果になるのだが──。
至極普通の話。障害者という特別な存在になりそうなキャラクターもあくまで一つのコマに過ぎない。劇的な出来事が起こるわけでもなく、それでも最後まで惹きつけられてしまったというその最たる要因は、繰り返しになってしまうけれども、やはり丁寧に仕上げられた絵づくりにあると思う。
原作は高く評価されているコミックであり、アニメにするにはうってつけ。しかし、その原作に頼り切ることなく、あくまで映像表現の追求というものを感じた。そういった意味では原作とは別の作品が生まれているといえるのかもしれない。
原作を愛する者にとっては、もしかしたら「けしからん!」ということになるのかもしれないが、映画にするというのであれば一つの確立した作品を仕上げてほしいと、個人的には思っている。アニメーションにおける演出というものを強く感じさせる映画であった。映画として素晴らしい作品だと思う。
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