ルドルフとイッパイアッテナ

ルドルフとイッパイアッテナ(2016年)
公開日:2016年8月6日
配給:東宝
時間:89分

監督:湯山邦彦、榊原幹典
原作:(作)斉藤洋原作(絵)杉浦範茂
脚本:加藤陽一
出演:井上真央(ルドルフ)
   鈴木亮平(イッパイアッテナ)
   水樹奈々(ミーシャ)
   八嶋智人(ブッチー)
   古田新太(デビル)
   大塚明夫
   寺崎裕香
   佐々木りお

   毒蝮三太夫(ダンプトラックの運転手)ほか
製作:中山良夫、市川南、鈴木伸育、峠義孝、沢桂一、薮下維也、中村美香
ゼネラルプロデューサー:奥田誠治
エグゼクティブプロデューサー:門屋大輔
企画:岩佐直樹
プロデュース:岩佐直樹
プロデューサー:坂美佐子、伊藤卓哉、星野恵
アニメーションプロデューサー:小林雅士
プロダクションマネージャー:富永賢太郎
CGスーパーバイザー:森泉仁智
アートディレクター:丸山竜郎
キャラクターデザイン:阿波パトリック
音響監督:三間雅文
主題歌:back number
制作プロダクション:Sprite Animation Studios、OLM、OLM Digital

鑑賞日:2016年9月7日
場所:TOHOシネマズ新宿 スクリーン12 I10


■ ストーリー
黒猫のルドルフは、日々、家でのお留守番ばかり。いつの日か飼い主と共に外出したいと願っていた。そんなある日、窓のすき間から外へ出ることに成功したルドルフは、必死に外出した飼い主を追う。しかし、運悪く見知らぬトラックの荷台に乗り込んでしまい、しかも気を失ってしまう。気が付くと、目の前には知らない大きな街が広がっていた。ルドルフは一地方から東京へと迷い込んでしまった。
突然、野良猫となってしまったルドルフ。行く当てもなく彷徨い続けていると、体の大きな先輩野良猫イッパイアッテナと出会い、2匹は行動を共にするようになる。
ルドルフは何とかしてもとの場所に戻ろうとする。そしてイッパイアッテナはその手助けをするため、あらゆることをルドルフに教えていく。そのうちにイッパイアッテナの意外な過去も知る。徐々に2匹の絆は深まっていくのだった。
他にも仲間が増えていく。みんなルドルフが帰ることができるように、協力してくれた。そしてついに、ルドルフがどこから来たのか、そして、そこへ帰る方法を見つけ出す。それは仲間との別れ、イッパイアッテナとの別れを意味していた。
ルドルフは旅立つ。そしてその旅立ちをきっかけに、イッパイアッテナと仲間たちの運命も大きく変わっていくのだった。

1987年刊行の名作児童文学「ルドルフとイッパイアッテナ」をフル3DCGアニメーションで映画化したもの。


▶ 映画館環境
TOHOシネマズ新宿 SCREEN12 座席数75 スクリーンサイズ2.8×6.6m
比較的小さな劇場。前方の3列ぐらいを避ければ、どの席でも大丈夫だと思う。
I10は最後列、スクリーン向かってやや右寄り、上りの階段正面の席。足元の自由は確保できるが、人の行き交いが多少気になるところが難点。もっとも、朝イチで見たこの回では、観賞者が自分を含め2人しかいなかったので、最高の開放感で作品を堪能できた。


▶ 作品レビュー
思ったよりも、CGが素晴らしかった。正直、プロモーションなどでの静止画を見るかぎりにおいては(ハリウッドなどと比べると)拙いCGなのだろうと思っていたわけで、ある意味日本のCGの駄目さ加減を確認するために見にいったようなもの。それが見事に、いい意味で裏切られた感じ。
おそらく、(個人的には史上最高だと思っている)ズートピアなどのCGとじっくり比較すると確実にこの和製フル3Dアニメーションは負けているとは思うけれども、それを全く感じさせないのは、カメラワークと光りなどの演出につきると思う。
ローアングルで普段見慣れない映像のダイナミズムに魅せられて、光りの明暗でうまい具合に質感をつくり出し、暗がりの場面が多い作品でも明確な暗さを感じさせながら暗さの中の描写もしっかりとしていて、この作品の絵作りにおける勝利を感じた。
とはいっても、話は単純。そして、子供向け。それ故に、余計なことを考えずに、一生懸命に作り上げられた絵を堪能できるとも言える。
原作はあくまで児童文学であり、内容も道徳的。野良猫の習性とか、動物の活動におけるリアリティーというものは半ば二の次であり、嘘っぽいところは盛りだくさん。そこを善とするか否かは個人差はあるだろうが、内容の細かいところにリアリティーを求めてしまうと、原作における趣旨がねじ曲げられるような気がする(─原作は読んでいないけれども、何となく原作は尊重しているんだろうなぁとは感じる作品)。
悪く言ってしまえば、子供だましであり、表面的な作品。流血だの、猫に対する接し方だの、現実世界で切り離せないリアルな面がたくさん削ぎ落とされているとこは否めない。しかし、(繰り返しになるかもしれないけれど)童話をアニメ化したものであって、きれい事だけをうまい具合に綴っているわけで、決して社会における問題を伝えようとする作品などではないという前提で見なければ、物足りないんだろうなあ、とは思う。何も子供向けだからといって単純で分かりやすければいいというものでもないけれど、こういう清き正しき単純明快な素晴らしいアニメーションも存在してもいいはず。
個人的には、この映画の趣旨は、ストーリーを凝るのではなく、あくまでもリアルなCGの表現を追求したものだと理解する。そしてそれは見事に成功していると思うのだが、そうなるとやはり大人も含めた多くの人が見る作品になるわけで、必然的にちょっとした物足りなさというものを言われてしまっているような気がする。
やはり比較対象はハリウッド映画の3D映画になってしまうわけで、そうなると、どうしても内容的に見劣りする。そんな批判されるべき作品じゃないんだけど…

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