ガラスの花と壊す世界

ガラスの花と壊す世界(2015年・日本)
公開日:2016年1月9日
配給:ポニーキャニオン
時間:67分

監督:石浜真史
原案:Physics Point
脚本:志茂文彦
出演:花守ゆみり(リモ)、種田梨沙(デュアル)、佐倉綾音(ドロシー)、茅野愛衣(スミレ)ほか
キャラクターデザイン:瀬川真矢
音楽:横山克
主題歌:A-1 Pictures

鑑賞日:2016年1月26日
場所:新宿バルト9 シアター8 D-10席


■ ストーリー
2073年、コンピューターを管轄する基本的ソフトウェア、ヴァイオレット・オペレーションシステム「ViOS(ヴァイオス)」が開発される。
2100年、地球環境を管理・維持するためのプログラム「マザー(mother.exe)」が開発される。マザーはViOS上で動く。理想の人間を作り出すことを目的として、地球上の歴史や場所の記録(バックアップ)を取り始める。
そのバックアップをため込む場所が「知識の箱」と呼ばれるもの─。
デュアルとドロシーは、「知識の箱」にインストールされた、アンチウイルスプログラム。「知識の箱」に侵食してくるウイルスを消去することが2人の使命、必要とあらばウイルスに汚染されてしまったバックアップの消去などもしなければならない。
ある時、デュアルとドロシーはウイルスに攻撃されているリモを発見し、救い出すことに成功する。救出したはいいが、リモはいったいどこから来て、何ものなのか全く分からない。唯一リモの記憶の中にお花畑というものがあった。それを頼りに、彼女らはあらゆるバックアップの中を探って行く。
そして、そのお花畑こそが、ウイルスがどこからくるのか、そしてリモが何ものでその存在の目的などが説き明かされるキーとなっていく─。

2013年「アニメ化大賞 powered by ポニーキャニオン」にて、多数の応募の中から大賞を勝ち取った「D.backup(ディードットバックアップ)」(創作ユニット「Physics Point(フィジックスポイント)」によるシナリオ&イラストレーション作品)を原案とした作品。

▶ 映画館環境
座席数251とやや広めの劇場。選択した座席は前から3列目。近すぎるかなと思ったものの、むしろこれぐらいの近さが迫力があってちょうどいい。少々見上げになるが、全く気にならない程度。座席前の手すりが非常に邪魔。
早朝1発目の上映、もしかしたら1人かなと思ったりしたが、10人ほどいた。

▶ 作品レビュー
ストーリーはかなり練られている印象がしたし、キャラクターも洗練されていて、楽しめたことは間違いない。だが、キャラクターや演出が、世の中で流れているアニメを組み合わせただけという印象を強く持ってしまった。
アンチウイルスを女の子という形で擬人化するアイデアそのものは、非常に面白いと思うし、成功していると思う。それを分かりやすくとか親しみやすいとか、そういうものを追求するあまりに、作品そのものがステレオタイプという印象を持たれてしまうのではと危惧する。
はっきり言ってしまうと、何とかアイドルが魔法を使って悪者を撃退しているアニメーションになってしまっているのだ。
コンピューターに詰め込まれたバーチャル世界というコンセプトを前面に打ち出すよりも、女の子の物語を前面に押し出した方が受けがいいだろうし、むしろ新しいのだという気持ちは理解できる。前者のコンセプトなんてやり尽くされて、もう古くさくなってしまっているし─。
女の子のキャラそのものには別に不満はない。むしろ、性格付けや姿形は、オリジナリティーがないとはいえ、作品の中で生かされていたように思う。
また、時代背景や環境を自在に変えることが可能という設定も、かなり面白いと思ったし、その描写自体サラッとこなしていたけれども、その利点をうまく活用することもできたように思う。
よくよく考えてみると、ウイルスの表現があまりよろしくなかったような気がする。あれが、某有名魔法少女を想起させてしまって、それだけでこの作品自体のオリジナリティーのなさが露呈してしまっている。
大衆に受けるような記号を使いながら構成していく手法にケチをつけるものではない。それが分かりやすさにつながるだろうし、多くの人にそれが受け入れられれば、大衆的なシンボルだったものがもしかしたら作品そのもののシンボルにもなり得るかもしれない。
ただ、あまりにも大衆用の記号ばかりを集め過ぎなように感じてしまう。唯一「知識の箱」だけがこの作品のオリジナル要素で、あとはすべて何かの借り物のような印象。
よくできていて、楽しめるアニメーションなんだけど─。
多くのレビューで「おしい!」といった趣旨の意見が目立つ。それは、映画としては短いなどという単純な理由からではなく、「ガラスの花と壊す世界」というオリジナリティーあふれるタイトルそのものに、中身が追いついていないという不満が表れているように感じる。
アニメファンが求めるアニメは、決して洗練されたものではないという原点的な考えを、もっと権力者に持ってほしいものである。



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