ロブスター

ロブスター(2015年/アイルランド・イギリス・ギリシャ・フランス・オランダ・アメリカ合作)
原題:The Lobster
公開日:(英)2015年10月16日 (日)2016年3月5日
配給:(日)ファインフィルムズ
時間:118分

監督:ヨルゴス・ランティモス
脚本:ヨルゴス・ランティモス
   エフティミス・フィリップ
制作:エド・ギニー
   セシ・デンプシー
   ヨルゴス・ランティモス
制作総指揮:アンドリュー・ロウ
      テッサ・ロス
      サム・ラベンダー
出演:コリン・ファレル
   レイチェル・ワイズ
   レア・セドゥー
   ベン・ウィショー
   ジョン・C・ライリーほか
撮影:ティミオス・バカタキス
美術:ジャクリーン・エイブラムス
編集:ヨルゴス・ランティモス

鑑賞日:2016年3月5日
場所:シネマカリテ スクリーン2 C-1


■ ストーリー
単身者は身柄を拘束されてホテルに送られる。そこで45日以内にパートナーを見つけなければ、自らが選択した動物にされてしまう。

単身を罪とされた社会に生きるデヴィッド(コリン・ファレル)は、妻に逃げられて単身となったため、単身の罪で犬にされてしまった兄とともに、ホテルに入れられる。
そこでパートナーを見つけると、シングルからダブルの部屋に昇格し、そこでうまくいけばクルーザーの生活へと昇格する。そこでの生活をクリアすると晴れてカップルとして解放される。
単身のままだと、持ち分の日数が減っていくだけなのだが、不定期に発令される単身者の森での単身者狩りにおいて、単身者を捕らえることで、その日数が延長される。
パートナー探しも狩りもうまくいかないデヴィッドは、自分の日数がどんどん減っていくだけだった。追い詰められていく彼は、半ば強引に“薄情な女”をパートナーに選び、ダブルの部屋へと入っていく。しかし、彼女の冷たさに徐々に違和感を覚えていくデヴィッドは、犬の兄を彼女に蹴り殺されることで遂に彼女に見切りをつけ、そのホテルを脱走してしまう。
デヴィッドが向かったのは単身者の森。そこで単身者の仲間として受け入れられる。そこでのルールは恋愛禁止、そして何事も一人で完結させるということ。事前に墓穴を掘って、死ぬときも一人そこに入るといった徹底ぶりだった。
そこでは日夜、ホテルから送り込まれる狩人たちから身を守るための訓練が行われている。たとえ隣の仲間が襲われそうになっても手助けしてはならない。自分の身は自分で守るという信念で、厳しい訓練が続けられていた。
近視でメガネを掛け続けているデビッドは、自らも近視だと名乗るある女性(レイチェル・ワイズ)と出会い、禁断の恋に落ちてしまう。二人の恋は燃え上がっていくばかりで、ついには森のリーダー(レア・セドゥー)にも気づかれてしまう。森から逃げ出そうとする二人の動きを察知したリーダーは、それを阻もうとする—

第68回カンヌ映画祭コンペティション部門ノミネート、審査員賞受賞


▶ 映画館環境
新宿シネマカリテのスクリーン2は客席79、いわゆるミニシアター。
後方の列に座ると、スクリーンが小さく感じてしまう。
今回座った席は3列目のC−1、スクリーンを前にすると左端の席。劇場の構成上、どこに座っても見た目の大差はないように思うが、とにかく後ろは避けた方がいい。今回の席は前方が広々としていて、ベストの席といっていいだろう。
週末の最終上映、公開初日という割には、客席に空席が目立った。


▶ 作品レビュー
非常に面白い映画なんだけどR15指定であり、内容もやはりR15といわざるを得ない。恐らく、暴力とか性表現がその制限を設定しているのではないと思ってしまうところがまた、たちが悪い。個人的に最も嫌悪感を持ったのは、動物の表現。そもそも、人間が動物に“されてしまう”という設定自体が動物軽視の何ものでもない。別に動物愛護主義者などではないけれども、何だか動物への愛を感じられない映画だ。
といいつつも、それを見て非常に効果的だなーなんて思ってしまう自分がいる。まぁ、動物が大事だとか簡単には殺せないとか思いつつも、毎日のように肉を食いまくっているわけだから、この映画での動物表現を嫌悪するのは偽善でしかない。
冒頭から馬が銃で撃たれる。撃たれて崩れ落ちる馬に、別の馬が駆け寄っていくスローモーションにぐっときてしまう。何のためにそれが殺されたのか説明もないし、最後まで分からないままで終わるのだが、いまにしてみると漠然とその意味が掴めている。その意味が分かりだした今、この映画の味わい深さを噛み締めている。
全体的にシュール、シュールしすぎて爆笑していいのかためらってしまうところもある。捻れた世界観を作り出し、それに対するアンチテーゼの連続。必死にパートナーを追い求めてうまくいかず、恋愛禁止という領域に入った途端に最良のパートナーを見つけるという皮肉。とにかくズレを知的に作り上げながら、それを分かりやすい映像で伝えているが故に、独特の世界観でありながらも非常に分かりやすい。特段説明的なところを設けなくても、シナリオの流れにおいて、その場その場のルールを提示しており、なかなか巧妙である。
シュールな笑いの連続ではあるものの、結末に向けて話しは辛辣になり、その終わりは悲劇的で笑えない。笑いがいつの間にか悲しみになっていて、複雑に感情をかき乱す。
悲惨なシーンや卑猥なシーン満載であり、話しも現実離れしているわけで、正直どうしようもない映画かも知れないけれど、それをあえて作り、見て、笑い飛ばそうというその思想がまさにヨーロッパだなーという印象を強く持った映画だ。


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