マネー・ショート 華麗なる大逆転

マネー・ショート 華麗なる大逆転(2015年・アメリカ)
原題:The Big Short
公開日:(米)2015年12月11日 (日)2016年3月4日
配給:(米)パラマウント映画 (日)東和ピクチャーズ
時間:130分

監督:アダム・マッケイ
制作:ブラッド・ピット
   デデ・ガードナー
   ジェレミー・クライナー

   アーノン・ミルチャン
製作総指揮:ルイーズ・ロズナー=マイヤー
      ケビン・メシック
脚本:チャールズ・ランドルフ
   アダム・マッケイ
原作:マイケル・ルイス『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』
出演:クリスチャン・ベール(マイケル・バーリ)
   スティーブ・カレル(マーク・バウム)
   ライアン・ゴズリング(ジャレッド・ベネット)
   ブラッド・ピット(ベン・リカート)ほか
撮影:バリー・アクロイド
美術:クレイトン・ハートリー
衣装:スーザン・マシスン
編集:ハンク・コーウィン
音楽:ニコラ・ブリテル

鑑賞日:2016年3月4日
場所:TOHOシネマズ日本橋 スクリーン6 C-12


■ ストーリー
2005年、金融トレーダーのマイケル・バーリ(クリスチャン・ベイル)はサブプライムローンが数年後にデフォルト(債務不履行)に陥ることを察知し、銀行や投資家、さらには政府にまで訴えるが全く取り合ってもらえない。そこで、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)という債務の元本に対してプロテクションを掛ける取引に目をつけ、サブプライムローンに掛けられたCDSを大量に購入する。それによりマイケルは、サブプライムローンが順調に推移している場合は一定額の保証金を払い続けることになり、一方、その債務の信用リスクが顕在化し価値が下がった場合、その分の金額を補填されることになった。まさに、サブプライムローンの価値が無くなることを見越しての投資だった。
それを察知した銀行マンのジャレッド・ベネット(ライアン・ゴズリング)は、サブプライムローンに不信感を募らせていたヘッジファンドマネージャーのマーク・バウム(スティーブ・カレル)にCDSへの大規模な投資を勧める。
さらに、住宅バブルに好機を見いだそうとする若き投資家2人も、一線を退いた伝説の投資家ベン・リカート(ブラッド・ピット)のアドバイスのもと、CDSの購入を進める。
2008年、遂に、住宅ローンの破綻に端を発する市場崩壊の徴候が現れる。国の経済の行方に憂いを馳せつつも、それぞれが大金を手にする時が近づいてきた─。
第88回アカデミー賞作品賞にノミネート、最優秀脚本賞受賞


▶ 映画館環境
TOHOシネマズ日本橋スクリーン6は座席数215、スクリーンサイズ13.6×5.7m、比較的大きな劇場。C−12は前から3列目の真ん中付近。柵や手すりなども無く足元はかなりゆったりできるものの、スクリーンが大きいため3列目はやや前過ぎる気がした。
公開初日の金曜の夜、そしてアカデミー賞効果もあったことだろう、かなりの客数。客層は中年が中心。


▶ 作品レビュー
この映画を見ようとしたのは、アカデミー賞というネームバリューと、映画の宣伝で流れるレッド・ツェッペリンに惹かれたためで、リーマン・ショックとかサブプライムローンなどに興味を持っていたからではない。とはいえ、それなりにニュースに接しているから金融に関して知識が無い自分でも十分理解可能だろうと臨んだ。それが少しあまかった。
いま改めてプロットを読み、固有名詞をちょっと調べてみて、ようやく映画の全体像がつかめた思いがしている。
サブプライムローンは分かっていてもCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が何なのか分かっていなければ、この映画を正しく理解できないだろう。映画の中でも説明がなされるものの、全く理解できなかったというのが正直なところ。
この映画はテレビメディアなどの影響が色濃く、演者が突然カメラ目線で解説をし出したり、手描き風のアニメーションを用いて物事を説明的に表示しようしているのだが、あまりそれが効果的だとは思えなかった。あまりに提供されてくる情報量が多すぎて、ある程度知識が無ければついて行くことができない気がした。というよりも、そのついていけてないのが自分だったりするのだが…
所詮、音楽好きでしかない自分などには、劇中で流れるパンテラ、メタリカ、ガンズ・アンド・ローゼズ、ニール・ヤング等々、HR/HMを楽しむことだけが救いだった。
とはいえ、サブプライムローンの実態など垣間見ることができたし(まぁ、テレビとかでさんざん見ていたこととほぼ一緒なのだけれども)、格付け会社の実態とか、リーマン・ショックが徐々に発生し出す場面など、興味をそそられる部分はそれなりにあったわけで、最後まで見ることができた。そして、ラストのWhen The Levee Breakはお疲れさまのご褒美、歌詞もまさにリーマン・ショックにピッタリといった印象で、この曲をフルコーラスで流すセンスが素晴らしいと思ってしまった。小難しい内容で頭フル回転した後の解放感とでもいうのだろうか、挿入される不明なフラッシュカットがまた絶妙で、何だかここだけを見るためだけにここに来たような幻想を抱いてしまう。主役の一人であるマイケルがHR/HM好きという設定でハードロックを流し続けた理由がここにあったわけだ。
金融的な知識が豊富な人であれば、果たして、この映画を十二分に楽しむことができるのだろうか?メタル好きで金融マンならば無類の映画なのだろうか?
自分としては、中途半端なカメラ目線と、中途半端な解説がどうも腑に落ちない。確かに扱う内容は難しいし、単なるドキュメンタリーではなく劇映画としてリーマン・ショックをナチュラルに描く難しさもあるだろう。試行錯誤の結果が、この映画のようなスタイルになっていると思う。
ドラマとドキュメンタリーを組み合わせて作ったらどうだったのか、説明的すぎてつまらなそうに思えるし、ラストのレヴィーブレイクも無かったかもしれない。
内容自体が褒められる類いのものでもないし、例え大金を手にしたからといってイコールアメリカンドリームではない。ある意味アメリカンドリームなのだが、その本体が崩壊してしまっているわけだから、憧れなどは、そこにはない。説明を極力抑えて、ハードロックで気持ち良く水に流すことこそが最良の策だったのかも知れない。
当初は、なぜアカデミー賞の作品賞にノミネートされるのかあまり理解できなかったのだが、徐々にその所以をつかみつつある。そうは言っても、何故に脚本賞なのかよく分からない。それなりに価値ある情報が盛り込まれていたのかも知れないけれども、その密度が濃すぎて、素人にはついていけない。
知識もしくは予習ありきの映画であることは間違いない。

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