アーロと少年(2015年・アメリカ)
原題:The Good Dinosaur
公開日:(米)2015年11月25日 (日)2016年3月12日
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
製作:ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、ピクサー・アニメーション・スタジオ
時間:93分
監督:ピーター・ソーン
脚本:メグ・レフォーブ
製作:デニス・リーム
製作総指揮:ジョン・ラセター、リー・アンクリッチ、アンドリュー・スタントン
出演:安田成美(アーロのママ・日本語吹き替え)
松重豊(ブッチ・日本語吹き替え)
八嶋智人(ナッシュ・日本語吹き替え)
片桐はいり(ラムジー・日本語吹き替え)
石川樹(アーロ)ほか
音楽:マイケル・ダナ、ジェフ・ダナ
鑑賞日:2016年3月15日
場所:TOHOシネマズ新宿 スクリーン7 H−7
■ ストーリー
もしも、地球に隕石がぶつからず、地球が絶滅していなかったら…?
恐竜が話して、人間は話せなかったかも─
そんな架空の世界の物語
お父さんお母さん、そして3きょうだい、5恐竜の家族がギザギザ山の麓で協力し合って平和な生活を送っていた。末っ子アーロは家族の中で体が小さく、極度の弱虫だった。そんなアーロを心配するパパは、アーロに特別な任務を与える。それは、自分たちが栽培し蓄えている穀物を盗んでいる悪党を捕まえて、致命的な一撃を加えること。
果たして、アーロはそいつを捕まえ、最後の一撃を加える瞬間、優しい心が勝ってしまい、捕まえたやつを逃がしてしまう。それを見つけたパパは、アーロにすぐそいつを追って捕まえるよう指示する。逃げた輩を見失わないように、パパが先頭を走ってアーロがそれを追う。かなり遠くまで追ってゆくが川沿いを走っている限り、それが目印となって、帰りも簡単だとパパが言い、アーロを叱咤激励する。次第に天候も悪くなり、雷雨が激しくなってきた。ついにアーロが力尽き、帰宅を余儀なくされる。その瞬間、川の流れが急激に激しさを増し、激流がアーロたちを襲う。パパが必死にアーロをかばい、そして川に流され姿を消してしまう。
パパがいなくなって、4恐竜となった家族は、穀物の収穫に苦労していた。そんな中、またしてもあの盗っ人が倉庫を荒らす。それを見つけたアーロの怒りが爆発する。今度こそやつを捕まえ、処分する、そんな決意でやつを追う。またしても、あの川沿い。必死に追うものの全く捕まらず、今度はアーロ自身が川に落ちてしまい流されてしまう。
気付くと見知らぬ場所にいたアーロ。体も痛いし、おなかも空いてきた。そんなアーロを気づかったのは、あの盗っ人だった。その姿はヒトの子供。叫んだり吠えたりするだけで、言葉らしきものは発しない。アーロが話す言葉も通じない。しかし、気持ちは伝わっているようだった。犬猿の仲と思っていたコンビも、ともに野生の中を生き抜いていくうちに不思議な絆で結ばれる。そしてアーロは少年をスポットと呼ぶことになる。
スポットも孤独だった。孤独同士気持ちを寄せ合い、アーロの故郷ギザギザ山を目指して旅をする。あらゆる困難が彼らを襲う。果たして無事たどり着くことができるのか!?
同時上映:短編「ボクのスーパーチーム」(7分)
原題:Sanjay's Super Team(2015年・米)
監督:サンジェイ・パテル
製作:ニコール・パラディス・グリンドル
製作総指揮:ジョン・ラセター
音楽:マイケル・ダナ
▶ 映画館環境
TOHOシネマズ新宿スクリーン7は座席数409、スクリーンサイズ7.3×17.7mと大きめの劇場。全体的に座席のスペースが広めなため、どこに座ってもゆったりと観賞できる。H列は劇場の中央ややスクリーンよりだが、足場が広いため、この列であればどこでも満足。H-7はスクリーン向かって左端に位置するが、端という感覚をあまり持たずにスクリーンに入り込んでいける。
夜からの上映。6、7割の客入りという印象。子供から大人まで幅広い層がいた。遠くの方から大きないびきがして、自分を含め多くの人が肩を揺らしていた。それが笑いか怒りかは人それぞれだったと思うが─
▶ 作品レビュー
特筆すべきは、背景のCG。映画が始まると、これは実写との合成映画かと勘違いしてしまうほどの、超リアルに作り込まれたCG世界が展開する。あまりにリアルすぎて、キャラクターと背景に一瞬違和感を覚えそうになるが、絶妙な絵作りにより、リアルな大自然のなか、愛らしいキャラクターが見事に馴染む。
しかし、ストーリーに深みがなく、それほど面白いと思えないのが非常に残念。昔話的というか、教育的というか、とにかく子供に対する教訓めいた主張が強すぎて、ストーリーとCGの質感に違和感を覚えてしまう。絵本を劇画タッチで語るような違和感とでもいうのだろうか─。映画のコンセプトがイマイチ分からない。まぁ、そんなの分からなくとも、面白ければ問題ないはずだし、そもそもコンセプトとか余計な事柄に思考を持っていかれてしまう時点で、それほど成功している映画ではない。
決して悪い映画ではない。むしろ、称賛されてもおかしくない作品。なのに、なぜか個人的に肯定しかねている。何がそれほど気に入らなかったのか…
繰り返しになるが、やはりストーリーのまずさは否めない。あまりに単純すぎるし、表現が生やさしすぎる。あれだけリアルな世界を表現できるわけだから、もっと生々しさ、毒々しさというものを盛り込んでくれないと、童話にもなりきれないお休みのための読み物でしかない。性、暴力、差別、偏見等々、それら汚らしい(?)表現は皆無といってよい。だから、小さいお子様も大丈夫ですよーと強く主張できるものの、楽しめるかどうかは分かりませんよーと言わざるを得ない。
恐竜が言葉を使い、人間は言葉を使えないという設定は面白いと思う。時代背景を現実世界の歴史にあてはめるならば、ちょうど新石器時代にあたるのだろうか。農耕や牧畜で生計を立てていることから、文明の黎明期を想起する。しかし、それが今日あるような著しい発展を遂げるようなイメージが全くわき起こってこない。
別に「2001年宇宙の旅」がごとく哲学的な表現を求めているわけではない。面白ければ、こんなバカげたこじつけなど思いはしないのだろうが、何せ面白くないのでCG以外にあれこれ語ろうとすると、どうしても本筋から離れてしまう。
隕石の衝突がなく恐竜が生き残っていたとしたら─、そんな想定で作られた映画であることから、より現実世界に近い世界観を構築したかったのかもしれないと想像する。自然など背景における表現は文句のつけようもないけれども、やはりそれに対するキャラクターがあまりにもデフォルメされすぎているのではなかろうか。どうせならジュラシック・ワールド並みのダイナソーが言葉を喋るぐらいのリアルさが必要だったのではなかろうか。そこに猿の惑星とか2001年宇宙の旅とかに登場するような類人猿のCGが登場する…これはこれで面白いと思うけど、これでは完全にシニカルなコメディーだなぁ。
ほとんどストーリーの中に入り込んでいけなかったものの、一度だけ涙した。そこだけは、複雑な感情を感じ取ることができたからだ。セリフらしいセリフがほとんどない場面ではあったが、不覚にも溢れる涙が止まらなかった。そのシーンのおかげで、ストーリーにおいても完全否定ができなくなってしまった。
もっと複雑に入り乱れた感情表現を積極的に盛り込んでいれば、多くの賞も多くの興収も稼げていたような気がする。あらゆる人に受け入れられる可能性を秘めていただけに、非常に残念な作品だった。
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