アズミ・ハルコは行方不明(2016年・日本)
公開日:2016年12月3日
配給:ファントム・フィルム
時間:100分
監督:松居大悟
原作:山内マリコ
脚本:瀬戸山美咲
出演:蒼井優(安曇春子)
高畑充希(木南愛菜)
太賀富樫(ユキオ)
葉山奨之(三橋学)
石崎ひゅーい(曽我雄二)
菊池亜希子(今井えり)
山田真歩(吉澤ひろ子)
落合モトキ(川本)
芹那(杉崎ひとみ)
花影香音(少女ギャング団リーダー)
柳憂怜(津川ジロー)
国広富之(社長)
加瀬亮(警官・沢井)
エグゼクティブプロデューサー:大田憲男、藤本款、伊藤久美子、小西啓介、本田晋一郎
プロデューサー:枝見洋子
共同プロデューサー:平野宏治、深瀬和美
撮影:塩谷大樹
照明:西田まさちお
録音:矢野正人、加来昭彦
美術:高橋達也
装飾:鈴木伸弥
スタイリスト:纐纈春樹
衣装:星野恵理
ヘアメイク:末武美穂
編集:小原聡子
音楽:環ROY
主題歌:チャットモンチー
劇中アニメーション:ひらのりょう
助監督:畑井雄介
制作担当:丸山陽介
鑑賞日:2016年11月1日
場所:TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン9 I-17
■ INTRODUCTION(公式HPより)
突如、街中に拡散される、女の顔のグラフィティ・アート。
無差別で男たちをボコる、女子高生集団。
OL安曇春子(28)の失踪をきっかけに交差する、ふたつのいたずら。
この失踪事件の背景と行く末を、“アラサー、ハタチ、女子高生”の三世代の女の子たちの生き方を浮き彫りにしつつ描いた山内マリコの同名小説を原作に、『アフロ田中』(12)、『ワンダフルワールドエンド』(14)などの松居大悟監督が映画化。そのポップで刺激的な作風が、国内外で高い評価を得る30歳の若き才能は、今作でもスパークしている。アニメーションやプロジェクションマッピングなどを取り入れためくるめく映像世界はもちろんのこと、いくつかの異なる時間軸をテンポよく交錯させつつ、笑いと毒、スリルと愛に満ちた、これまでにない青春ストーリーを綴り上げている。
■ STORY(公式HPより)
SIDE:春子
とある地方都市に住む27歳の安曇春子(蒼井優)。独身で恋人もいない春子は、実家で両親と祖母と一緒に暮らしている。老齢の祖母を介護する母のストレスが充満する実家は決して居心地のいいものではなく、会社に行けば社長と専務に「女は若いうちに結婚するべきだ」とセクハラ三昧の言葉を浴びせられる日々。春子はふと自分の年齢を実感する。まだ27歳ではなく、もう27歳。若くはないということに…。
SIDE:愛菜
20歳の愛菜(高畑充希)はとある地方都市の成人式の会場で、大学進学のため名古屋に行った中学時代の同級生のユキオと、なんとくなく会って遊んだり、なんとなくセックスする間柄になっていく。ある日、ユキオの誕生日プレゼントを買いにレンタルビデオ店に行ったふたりは、そこでバイトをしていた同級生の学(葉山奨之)と再会し…。
SIDE:春子
ある日の仕事帰り、運転する春子の車の目の前を制服姿の女子高生たちが駆け抜けていく。興味を覚えた春子は後を追って公園へ。するとそこには、誰かに暴行されて倒れている男の姿が。それは、少し前に再会したばかりの同級生の曽我(石崎ひゅーい)だった!曽我を送り届けたその夜、ふたりは互いの虚しさを埋め合うように体を重ね、付き合うという言葉はないまま、食事をしたり、買い物に行ったりする仲になっていた。
久しぶりに心浮き立つ春子とは裏腹に、しばらくして曽我からの連絡が途絶えるように。そして、コンビニでバイトをする噂好きの同級性から衝撃の事実を聞かされ…。
SIDE:キルロイ
ユキオと学はグラフィティアーティストのドキュメンタリー映画を観て、映画に登場する覆面アーティストのバンクシーに憧れ、グラフィティ・アートを始める。チーム名は、アメリカに実在する有名な落書きからとって“キルロイ”と決定。キルロイは“28歳・安曇春子の行方不明を探す張り紙”をモチーフに、春子の顔とMISSINGという文字を合わせてグラフィティ・アートにし、街中に拡散していく。自分そっちのけで楽しむふたりに愛菜は怒り心頭。強引に割って入り、アズミ・ハルコのグラフィティ・アートを一緒に広めていくのだった。一方その頃、〈少女ギャング団〉による男性のみを襲う暴行事件が巷を騒がせていた。インターネット上ではその事件と、アズミ・ハルコのグラフィティ・アートの関連が噂され…。
▶ 映画館環境
第29回東京国際映画祭コンペティション部門上映
TOHOシネマズ六本木ヒルズ、スクリーン9、スクリーンサイズ5.3×12.7m、座席数258
I列は前方から9列目、劇場やや後方、プレミアシートの真後ろ、I-17席はスクリーン向かってやや右寄り・ほぼ真ん中の席。非常に見やすいポジションであった。
会場はほぼ満席。
▶ 作品レビュー
女性目線のガールズムービー、という趣旨のことを上映後のQ&Aで松居大悟監督と枝見洋子プロデューサーが主張していた。女性のための映画らしい。とはいえ、男性が見ても楽しむことができると思ったし、映像が色彩豊かで煌びやかに感じたので制作者側が主張するようなところも大いに理解できた。
だが、自分は、この映画を素直に女性目線の映画だとは思えない。あくまで、男性の立場から見た女性目線といったような違和感を感じて、それが故に男尊女卑といったところを強調されているようにも感じてしまった。単に女性が主役であったり、女性と男性の力関係が逆転しただけでは、女性目線・女性主体の女性のための映画とはいえないような気がする。そういった面でこの映画は特段女性のための映画とも感じなかったし、女性を持ち上げたり励ましたりするようなところも感じなかった。あくまで20代30代の若者を描いた作品としか思えなかった。たまたま女性が主役の作品だから女性がメインなっただけの映画─、至極当たり前のことでありわざわざ記すことでもないけれど、制作陣が殊更に女性を強調したことの個人的な反応としての記録──。
内容は、異なる時間軸や異なるコミュニティーが複雑に絡み合い、単純なストーリーテリングというものではない。核となる関連性を帯びた物語がいくつかあって、それがコラージュを成している。複雑な構成とはいえ、決して難解な作品ではなく、分かりやすい若者の発露を存分に感じることができるし、敢えて時間や空間をバラバラに組み合わせることによりカラフルな作品になっているような印象を持つ。
映像の楽しさや面白さは非常に感じたものの、個人的に、感情移入ができないまま終幕を迎えてしまった。というのも、映画で中心的に扱われているテーマや立場が自分とは真逆のような気がして、終始一歩引いた目線で作品を眺めていたからだ。それ故に、監督が主張するような女性のための映画には思えなかったのかもしれない。そう言えば終幕後のQ&Aでは、女性の観客から共感した旨の感想も出ていた。何かしら共通項を見いだせないと作品が持っている本当のパワーを受け止めきれないのかもしれない。
個人的な感想としては、松居大悟監督の前作「私たちのハアハア」の方が大きく心動かされたし、作品のパワーを非常に感じた。あの作品はテーマもストーリーも分かりやすかったからかもしれないが…。
唐突に監督の前作などを持ち出してしまったけれど、あの作品の女子高生たちが成長した姿を今回の作品の中に見てしまったわけで、カメラが自由に動き回る撮影手法なども非常に似通っていたこともあって、何度か前作の面影が頭をよぎった。あの作品からのグレードアップした(俳優、映像、構成などの質が上がった)印象が強いし、間違いなくクオリティーは高いとは思うものの、個人的には、失われてしまった何かを感じてしまった。
原作の小説は未読。監督と俳優陣のネームバリューで観賞に至った映画なので、正直原作は読まなくても─などと怠惰な気持ちでいたわけだけれども、きっと女性目線・女性主体・女性のための作品になっているであろう小説が、映画を見終わった後で湧き起こったもやもや感のせいで、気になって仕方がない──という余談で終了。
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