永い言い訳(2016年・日本)
公開日:2016年10月14日
配給:アスミック・エース
時間:124分
監督:西川美和
原作:西川美和
脚本:西川美和
出演:本木雅弘/衣笠幸夫(津村啓)
竹原ピストル/大宮陽一
藤田健心/大宮真平
白鳥玉季/大宮灯
堀内敬子/大宮ゆき
池松壮亮/岸本信介
黒木華/福永智尋
山田真歩/鏑木優子
深津絵里/衣笠夏子
松岡依都美/栗田琴江
岩井秀人/桑名弘一郎
康すおん/大下潤之介
戸次重幸/田原尚也
淵上泰史/甲斐くん
ジジ・ぶぅ/増田耕作
小林勝也/山本康三
木村多江/安藤奈緒美(声)
マキタスポーツ/ラジオパーソナリティ(声)
サンキュータツオ/ラジオパーソナリティ(声)
プチ鹿島/ラジオパーソナリティ(声)ほか
製作:川城和実、中江康人、太田哲夫、長澤修一、松井清人、岩村卓
プロデューサー:西川朝子、代情明彦
撮影:山崎裕
照明:山本浩資
録音:白取貢
美術:三ツ松けいこ
編集:宮島竜治
衣装:小林身和子
ヘアメイク:酒井夢月
サウンドエフェクト:北田雅也
挿入歌:手嶌葵「オンブラ・マイ・フ」
キャスティング:田端利江
助監督:久万真路、菊池清嗣
制作担当:白石治
鑑賞日:2016年11月2日
場所:TOHOシネマズ新宿 スクリーン8 I-12
■ ストーリー(公式HPより)
妻を亡くした男と、母を亡くした子供たち。
その不思議な出会いから、
「あたらしい家族」の物語が動き始める。
人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(きぬがささちお)は、妻が旅先で不慮の事故に遭い、親友とともに亡くなったと知らせを受ける。その時不倫相手と密会していた幸夫は、世間に対して悲劇の主人公を装うことしかできない。そんなある日、妻の親友の遺族─トラック運転手の夫・陽一とその子供たちに出会った幸夫は、太下思いつきから幼い彼らの世話を買って出る。保育園に通う灯(あかり)と、妹の世話のため中学受験を諦めようとしていた兄の真平。子供を持たない幸夫は、誰かのために生きる幸せを初めて知り、虚しかった毎日が輝き出すのだが…
ひとを愛することの「素晴らしさと歯がゆさ」を描ききった。
観る者すべての感情をかきみだす、かつてないラブストーリー。
「おくりびと」以来7年ぶりに主人公・幸夫を演じるのは、「日本でいちばん長い日」で賞レースを席巻した本木雅弘。イメージを大きく覆し新境地に挑み、歪んだ自意識とコンプレックスに溺れるタレント小説家を人間味たっぷりのチャーミングな人物に見事に昇華させた。陽一にはミュージシャンの竹原ピストルを抜擢、幸夫の妻に深津理絵、さらに、池松壮亮、黒木華、山田真歩など贅沢な共演陣が、緊張感と豊かさをスクリーンに焼き付ける。約1年の撮影期間を経て成長を遂げていく子役たちの予測不能な演技にも魅了される。原作・脚本・監督を手掛けたのは、「ゆれる」「ディア・ドクター」「夢売るふたり」に続くオリジナル脚本を書き下ろし、本作の原作で直木賞候補となった西川美和。自ら集大成と語る通り、卓越したストーリーテリングと強烈な心理描写が研ぎすまされ、かつてない優しさと希望にあふれた、「感動作」となった。観る者は、いつしか物語に深く入り込み、主人公たちとともに悩み、迷い、そしてしたたかな幸福感に涙するだろう。
原作・脚本・監督/西川美和
1974年7月8日広島県出身。早稲田大学第一文学部卒。大学在学中より、映画「ワンダフルライフ」(99/是枝裕和監督)にスタッフとして参加。以後、フリーランスの助監督を経て、2002年「蛇イチゴ」でオリジナル脚本・監督デビュー。第58回毎日映画コンクール・脚本賞ほか数々の国内の映画賞の新人賞を獲得。06年、長編二作目となる「ゆれる」が異例のロングランヒットを記録。第59回カンヌ国際映画祭監督週間に正式に出品された他、第49回ブルーリボン賞他国内主要映画賞も総なめにする。長編第三作目の09年「ディア・ドクター」も、第33回モントリオール世界映画祭コンペティション部門に正式出品され、第83回キネマ旬報ベスト・テン日本映画ベスト・テン第1位、第33回日本アカデミー賞最優秀脚本賞など数多くの賞を受賞。長編四作目の12年「夢を売るふたり」も、第37回トロント国際映画祭スペシャル・プレゼンテーション部門正式出品をはじめとし、国内外で賞賛を受けた。また、映画界での活躍意外に小説・エッセイの執筆も手掛け、「ゆれる」のノベライズで第20回三島由紀夫賞候補、「ディア・ドクター」のアナザー・シトーリーで「きのうの神様」で第141回直木賞候補、「永い言い訳」で第153回直木賞候補・2016年本屋大賞候補となった。その他「その日東京駅五時二十五分発」「映画にまつわるXについて」などがある。一貫してオリジナルストーリーに挑み、常にその創作活動が熱い注目を浴びる映画監督。
▶ 映画館環境
TOHOシネマズ新宿 スクリーン8
座席数90 スクリーンサイズ3.2×7.6m 比較的小規模な箱
I-12は最後列、スクリーン向かって右端の席。
個人的にTOHOシネマズの小箱は最後列が好み。
上映回数が少ないうえに小箱での上映であるためか、非常に混んでいた。
女性客が多かった。
▶ 作品レビュー
この作品に興味を持ったきっかけは、原作でもなく、監督でもなく、竹原ピストルというミュージシャンが出ているからだった。といいつつも、ミュージシャン竹原ピストルの大ファンというわけではない。ある映画で流れる竹原ピストルの音楽とライブ映像を見て、非常に気になる存在になっていてた。
この映画を見て、ミュージシャンなのにいい演技するなぁなどとただただ感心するだけだったのは、単に自分が無知なだけだった。そもそも彼は俳優デビューの方が早かったのだと後々知る。
主演はあくまで本木雅弘であり、終始、衣笠幸夫/津村啓を演じる大スター中心に物語が展開していく。しかし、魅力的に描かれているのはどう見ても、竹原ピストルが演じる大宮陽一であり大宮家の子供たち。そのように仕向けているのは明白に感じるし、大スターをいかにナチュラルに大宮家に溶け込ませるか、そこに注力が注がれていたように思う。
これも映画を見終わった後に知ったことではあるが、この映画は16ミリフィルムで撮影されているといったことが、いかに衣笠幸夫という存在を消し去ろうとしていたかが窺える。
本木雅弘という役者を衣笠幸夫にしようとしていたのではなく、あくまで本木雅弘という個人が他人の子を育てる様を見せようとしていた、個人的にはそう感じた映画だった。
大宮家の中に大スターが入っていく様、まさにそれが重要だったはずで、それ故に竹原ピストルであり本木雅弘だったわけだと、至極納得できた。
話自体は特殊なもので、それでいて非現実的な話でもなく少なからず似たような境遇は現実世界でも有り得ることだろうし、だからこそ創り上げられたリアリティーをより真実味があるようにするためのアイテムとして16ミリはうまく使われていたような気がする。それでいて、画質の粗さとか劣悪感など全く感じなかったし、むしろ16ミリ撮影などとは全く気づかずにこの作品を見ていた。それも、本木雅弘という大きな存在をうまく使っていたからなのかなと、今にして勝手に思っている。
それにしても、西川美和監督がこういった作品を創り上げたのは、男子もしっかり子育てしろよということなのだろうかと、勝手に下衆の勘繰りなどしてしまう。
まあ、そんな雰囲気は微塵もなかったわけで、むしろ母親が夭折してしまった家族のエールみたいなものが滲み出ていた。
個人的には西川美和監督を初体験。小説を書きそれが評価され、そしてそれを自らが映画化してしまうなんて、まるで大谷翔平を見るような印象。
今回の映画だけを見る限り、印象としては、是枝裕和監督の系譜を受け継ぐような作風に見えた。ドキュメンタリータッチという面と子供をナチュラルに捉えているという面において、そう感じた。手法において似ていると思っただけで、内容と絵づくりに関してはまるで違うと思ったわけだけれど─。
結局は大人の都合で子供が振り回される展開になっているけれど、子供も大人を利用しつつ、互いにとって有益なものを手にしていくのではと感じさせてくれるので幸福感を得ることができた。
いきなり人の死というものに晒されてしまう映画だが、それをいかに克服していくかということが重要だなと今さらながらに思い知らされる。この作品のように死という不幸をも新しいきっかけとして、悲しみというものをしっかりと受け入れつつも、新たな幸福を向かい入れることができたらなと願うばかり。何かを失ってさらにまた何かを失うことなく、むしろその代わりに失った何倍もの恩恵を得ることができたらなと、ただただそう願うばかり。そんな気持ちになってしまった映画であった。
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